この記事では、西加奈子さんの著書『地下の鳩』の紹介、読んだ感想をまとめています。
「西加奈子さんの描くお話が久しぶりに読みたい」
こんな思いから手に取った本が『地下の鳩』でした。
私が知っている「逆境でも力強く生きる女性」を描いた西加奈子さんの作品とは少し違うテイストの『地下の鳩』は以下に当てはまる人にオススメです。
・恋愛系のストーリーが好き
・純愛ものよりも、少しドロッとしている歪んだ愛が好き
・過去を引きずりながらも、今を強く生きている人のお話が読みたい
少しでも「読んでみたいかも」と思った人は、ぜひこの後の概要や感想もチェックしてみてくださいね。
Contents
『地下の鳩』本の概要
大阪最大の繁華街、ミナミのキャバレーで働く「吉田」は、素人臭さの残るスナックのチーママ「みさを」に出会い、惹かれていく(「地下の鳩」)。オカマバーを営む「ミミィ」はミナミの人々に慕われている。そのミミィがある夜、客に殴り掛かる(「タイムカプセル」)。賑やかな大阪を描いて人気の著者が、街の「夜の顔」に挑んだ異色作。
(引用:「BOOK」データベース)
2014年6月10日に出版された『地下の鳩』は吉田、みさをが主人公の「地下の鳩」と、オカマのミミィが主人公の「タイムカプセル」の二作品が収録されています。
どちらの作品も大阪のミナミが舞台になっており、ページ数がそれぞれ約150pと短編になっています。
普段から読書をしており、読み慣れている人であれば1、2時間あれば読み終わってしまう文章量です。
サックリ読める上に、読後感はスッキリしているので非常に読みやすい作品だったという印象が強いです。
感想に入る前に、西加奈子さんの別作品についても少し触れておこうと思います。
西加奈子さんの著書紹介
西加奈子さんは『地下の鳩』以外にも、『サラバ!』『さくら
』『きいろいゾウ
』などのベストセラーを数々出しています。
きいろいゾウは2013年に映画化もされています!
西加奈子さんの別の作品は「【まとめ】20代の読書女子にオススメします!|女性作家さんの作品を紹介」で紹介をしていますので参考までにどうぞ。
このブログでは『漁港の肉子ちゃん』の感想を「家族愛に涙する一冊|『漁港の肉子ちゃん』(西加奈子)を読んだ感想」でまとめています。
個人的には、少し背中を押して欲しい、勇気が欲しい女性にこそ西加奈子さんの作品を読んで欲しいと思っています。
西加奈子さんの描く女性は本当に逞しく、力強い女性が多く登場するので「自分もまだまだ頑張れる!」と勇気をもらえます。
『地下の鳩』感想
ここからは「地下の鳩」「タイムカプセル」の感想をまとめていきます。
まず、両作品ともに共通して言えることが「過去を引きずる男(オカマ)」が主人公であることです。
「地下の鳩」の主人公、吉田は「若かった頃のイキリやプライド」を、「タイムカプセル」の主人公、ミミィは「いじめられていた頃の恐怖、惨めさ」を現在も持ち続けている。
そんな二人が、今を生きていくために過去を乗り越えていくことがテーマになっていると感じました。
また、どちらの作品も読みやすく読後感もよかったです。
強いていうなら、「地下の鳩」の方が少しモヤっとするかもしれません。
「地下の鳩」|吉田のみさをへの想いが胸を打つ
昔はイケていて女に困ったことがなかった吉田も、年を重ねるとそうもいかなくなる。
年を取ったからこそ見えてくる「大切なもの」に気づき、みさをのことを大切にしている様子が以下の文章から伝わってきました。
若かりし頃よりもずっと純粋で真っ直ぐな想いに胸を打たれるものがありました。
吉田はまったく、みさをのことを過大評価しすぎていたが、その原因の大きなひとつが、肉体関係がないことだった。吉田は絶対にみさをのタクシーに乗らなかったし、みさをも、誘われない限り、そういうことをしなかった。
出会ってから二ヶ月経っても、ふたりはその関係を続けていた。吉田にとって、「そのこと」を考えるのはもはや小さな罪悪のようなことに思え、また、自分の自尊心の問題も大きかった。
みさをが出会ったどの男とも、自分は違った男でありたかった。がっついていると思われたくないし、吉田は実際、がっついていなかった。(p.65-66)
「タイムカプセル」|ミミィの優しさや強さに憧れる
過去にいじめられた経験を持つミミィ。
それは大人になった今でも呼び起こされ、時には恐怖で失禁するほど。
そんなミミィが過去に立ち向かう姿を描いているのが「タイムカプセル」になっています。
菱野のことを知り、菊池と立埜にハッキリ物申す騒動は文章からでも現場の緊迫した空気が伝わってきました。
個人的には「タイムカプセル」の方が心に刺さるものがあり、強いメッセージ性を感じましたね。
「タイムカプセル」もオススメの作品になっていますので、ぜひ『地下の鳩』を手にとって読んでみて欲しいですね!
・過去を乗り越えていく男たちがテーマである
・歪みながらも純粋な「好き」に胸が打たれる
・痛みを知る人間だからこそ誰よりも強い、その姿に涙する
おわりに:西加奈子さんの世界観を楽しんで欲しい!
西加奈子さんの著書『地下の鳩』の紹介、読んだ感想をまとめていきました。
少しでも本書に興味を持っていただけたら嬉しいです!
普段、読んでいた西加奈子さんの作品とはテイストが違う作品で、個人的にはとても楽しく読むことができました。
西加奈子さんの作品をよく知っている人はもちろん、そうでない人も楽しめる作品になっていますので、ぜひ一度読んでみてください!
あなたの感想をぜひ聞いてみたいですヾ(*´∀`*)ノ
今回紹介した本はこちら↓
最後まで読んでいただきありがとうございました!