人は赤色を作り、赤色を集める。
人は緑色を作り、緑色を集める。
しかし、それらは、人間が生まれるまえからあった。
赤も緑も、その中間も、ある。
自然はいずれも連続している。
人は黒色を作り、黒色を恐れた。
人は白色を作り、白色に憧れた。
しかし、それらは人間が滅びたのちにも残るだろう。
黒も白も、その中間も、残る。
宇宙にはいずれも存在し続ける。
(森博嗣著『赤緑黒白 p.22』)
瀬在丸紅子(せざいまるべにこ)たちが登場するVシリーズ最終巻の『赤緑黒白』を読み終えたので感想を。
今回も全員が三人称視点で、保呂草(ほろくさ)、紅子、紫子(むらさきこ)、練無(ねりな)の見聞きしたことを基に若干の演出を加えた物語になっている。
物語はある変死体発見から始まる。地面に倒れている死体は真っ赤だった。それは単純に血に染まって赤いというわけではない。髪から足先まで全身がまんべんなく真っ赤なのだ。
死体の人物の名前は「赤井」。何の因縁か赤井さんはペンキで真っ赤に染められて殺されていた。
その時自称探偵の保呂草潤平は田口美登里から「フィアンセである赤井を殺した、犯人の帆山美零を捕まえてほしい」という無理難題な依頼の相談を受けていた。
田口が犯人だと断言する帆山は小説家であり、彼女の書いたミステリー作品『虹色の死』に今回の事件は酷似していたのだ。
その後「緑」、「黒」、「白」にまつわる人物が次々殺害されていく中、いつものごとく保呂草や紅子が巻き込まれ不可解な事件を解決に導いていく。
Vシリーズを締めくくる物語
今回の『赤緑黒白』はVシリーズ最後のお話である。しかし今回の事件は森博嗣特有の理系ミステリーではない割と普通のトリックが多いように見受けられました。
それでも謎は十分に難しく私にはトリックなどさっぱり理解できませんでしたが。
また物語の最後ともあり保呂草のその後や紅子と林の関係にも一旦の終止符が打たれた。紅子がどのような選択をしたのかはぜひ『赤緑黒白』を読んでみてください。
犯人とのバトルシーンもありハラハラします
今までの物語は犯人の抵抗があまりなく綺麗な終わり方をするのがほとんどだったと思いますが、今回の犯人は最後の悪あがきをしてきます。
そこに巻き込まれる紅子はかなり危険な状態に追い込まれます。犯人と主に戦ったのは祖父江七夏(そぶえななか)なのですが、彼女と犯人の銃撃戦はハラハラします。
読んでいても戦闘中のシーンが頭の中で想像でき、銃撃戦中の七夏がとてもカッコいいです。
Vシリーズもとてもおもしろい作品でした
私はVシリーズの前にS&Mシリーズを読んでいるのですが、S&Mシリーズに劣らず十分おもしろいシリーズでした。
S&Mシリーズは天才である犀川と萌絵の天才同士の織りなす謎解きがあり、ワクワクさせられるのですが、Vシリーズは紅子という天才と練無、紫子などの一般大学生が協力した謎解きがありそれはそれで一般人には理解できない部分を天才である紅子が見事に解説し、おもしろいと感じました。
次はGシリーズを読んでいきます
S&Mシリーズ、Vシリーズと読み終えたので次はGシリーズを読む予定です。
Vシリーズは最終巻しか紹介できませんでしたが、Gシリーズは最初から感想を書いていけそうです。
よく森博嗣作品の時系列がわからなくなるのでググるのですが、時系列がきれいにまとめられているサイトを発見しましたのでリンクを貼っておきます。
早く四季シリーズも読みたいな。以上で感想は終わりにします。
ここまで読んでいただきありがとうございました!