『使命と魂のリミット』(東野圭吾)を読んだ感想。ネタバレ注意です。

東野さんの著書は過去に『天空の蜂』『手紙』『秘密』『夢幻花』を読んだことがあり、これが5冊目となりました。

東野さんの作品を読んでいつも思うのは絶対におもしろいということです。もちろん今回の『使命と魂のリミット』もおもしろい作品で、考えたことや思うことがたくさんありました。

そんな『使命と魂のリミット』の感想を今回も気ままに書いていきたいと思います。なお、ネタバレを含む記事になっておりますのでご注意ください。

本の概要

事件は帝都大学病院で起こります。ある日「医療ミスを公開しなければ病院を破壊する」という脅迫状が病院に届きます。

病院側、心臓血管外科の西園教授はもちろん医療ミスを否定。しかし、研修医の氷室夕紀(ヒムロユウキ)は疑いを消せませんでした。夕紀の父は西園教授に手術をしてもらったが、帰らぬ人となってしまったからです。

彼女の父は意図的に死に至ったのか?この脅迫状はそのことを示しているのか?夕紀の中で疑惑が飛び交い、物語は真相へ向かっていきます。

物語は主に夕紀と七尾(警察官)、脅迫状を送りつけた男の3人の視点で進んでいきます。3人の視点を代わるがわる読んでいくので飽きずにおもしろく読めました。夕紀が事件について考えているときに七尾はどのように考えているのか、男はどう動いているのかがわかるのでハラハラしました。

 父の死を知るべく医者になる

主人公のひとりの氷室夕紀は研修医です。彼女は父の死を忘れらず、どうして帰らぬ人になったかを知るべく西園教授のもとで研修医として働きます。

自分の身近な人の死によって医者を志す、というのは割とよくあることなんですかね?私ならショックでとても医者になる気は起きないように感じたのですが、彼女は精神的に強い女性だったんでしょうね。しかも本当に医者になり、父を執刀した教授のもとで学ぶんですから。

西園教授の仕事っぷりを近くで見て、それでも疑いはなかなか晴れない。精神的苦痛は計り知れないです。

しかも、夕紀の母と西園は男女関係にあるようで母の帰りが遅いことや西園が夕紀の自宅にお邪魔していることもありました。こんなことをされたのではより父の死に疑問をもってしまいますよね?母親さえも疑ってしまう夕紀。悪循環とはこのことですね。

そして「医療ミス」に関する脅迫状で彼女の疑惑はどんどん膨れ上がります。本当は医療ミスだったのではないか、故意に死に至ったのではないか?西園を疑わずにはいられない状況に。

脅迫状の目的は?

一番はじめの脅迫状は夕紀が見つけました。脅迫状は患者が散歩していたであろう犬の首輪についていたのです。そんな不思議な脅迫状の届け方に病院側は「悪戯」であると相手にしませんでした。そして2回目の脅迫状は患者が見つけてしまいます。このことによって患者にも医療ミスの疑いをもたれてしまい、退院を求める人が現れはじめました。

金が目的であれば患者にバラさず、医者を直接脅迫すればいいはず。脅迫状の目的は一体なんなのか?警察官である七尾はこの脅迫状の目的に疑問を感じていました。

事故に間接的に関わった人(ネタバレ)

この本の主題とも言えるであろう「事故に間接的にかかわった人」の気持ちはどう償われるべきなのか。

「車の制御不慮による事故」によって道は塞がれ、救急車が病院に間に合わずに死亡。残された人は誰にどうやってこの気持ちを晴らせばいいのか。

車を運転していた人も被害者であり、救急隊員は全力を尽くしてくれた。

アリマ社長の無茶ぶりにより製造が間に合わず、制御チェックに一部不備があったことがこの事故のきっかになので社長のせいであるように思える。

穣治の気持ちがわからなくないが、本当にこれでよかったのか。彼を殺しても穣治は刑務所行きで彼女がよみがえることもないわけだから誰も報われないのではないか、それでもやり遂げたいと思ってしまったのか。

読後も考えてみましたが難しいなと思いました。

ここまで書いておいて、自分がこの感想で何を伝えたかったのかよくわかりません(笑)

物語がおもしろかったということが伝わっていれば何よりです。本の感想を書くのは本当に難しい。いつかもっと物語の魅了を伝えられる記事を書きたいです。

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