この記事では、小坂流加さんの著書『余命10年』の紹介、読んだ感想をまとめています。
こんにちは、すっちー(@succhi104)です。
今回は小坂流加さんの『余命10年』を読み終わったので感想や魅力を紹介していきたいと思います。
以前、小坂流加さんの『生きてさえいれば』を読んだのですが、『余命10年』も負けず劣らずの感動作品でした!
すっちー
生きることと死ぬこと、大切なものを作ること失うこと、不安や恐怖、幸せなど、考えさせられる内容がギッシリ詰まっている一冊。
リアルすぎる描写は読者を物語の中に強く惹きつけてきます。
『余命10年』はこんな方にオススメの小説ですよ┌|∵|┘
- 恋愛小説が好きな人
- 泣ける切ないストーリーが読みたい人
- 夢がない人
- 老若男女問わず全員!
Contents
『余命10年』本の概要
死ぬ前って、もっとワガママできると思ってた。
二十歳の茉莉は、数万人に一人という不治の病にかかり、余命が10年であることを知る。
笑顔でいなければ周りが追いつめられる。
何かをはじめても志半ばで諦めなくてはならない。
未来に対する諦めから死への恐怖は薄れ、淡々とした日々を過ごしていく。
そして、何となくはじめた趣味に情熱を注ぎ、恋はしないと心に決める茉莉だったが……。
衝撃の結末、涙よりせつないラブストーリー。
『余命10年』は2017年5月15日に出版された小説です。
ページ数は約350p、『生きてさえいれば』とほぼ同じ分量の作品。
SNSで大きな反響があり「いまいちばん泣ける恋愛小説」とも言われています!
2019年4月現在で33万部を突破し、第3回講談社ティーンズハート大賞「期待賞」や第6回静岡書店大賞「映像化したい文庫部門」大賞を受賞。
映像化も期待されている注目の作品になっています!
すっちー
小坂流加さんの著書紹介
小坂流加さんが出版している本は『余命10年』と『生きてさえいれば』の2作品になります。
非常に残念なことに、小坂流加さんは病気のため2017年2月に逝去されました。
この先、小坂さんの新しい作品を読む機会がないことが本当に本当に残念です…。
小坂流加さんの『生きてさえいれば』はこちら↓
『余命10年』感想
リアルすぎる感情描写にグッとくる!
『余命10年』が反響を生んでいる大きな理由はリアルな感情描写にあると思います。
時間に制約ができてしまったからこそ見えてくるもの、感じるものがありありと書かれており感動、感銘しますね。
『余命10年』は段落ごとに主人公である茉莉の本音が書かれ、例えば以下は、もし自分が余命10年だったら同じように感じるんだろうなと想像させてくれます。
楽しかった一日の終わりに、どうしてわたしは泣くんだろう。
楽しんだ者勝ちの人生のはずなのに、カズくんといると楽しい後は必ずつらい。楽しい分だけつらい。
つらいのに、もう会いたい。
恋愛感情なんて、一番最初に殺したはずだったのに。
どうかわたしに、死にたくないと思わせないで。(p.184)
命が恋しくて、時間がいとおしくてたまらない。
愛する人と別れることが死だと思った。
けれど、いとおしいと思えた自分と別れることも死なんだよね。こんなことならもっと自分を大切にすればよかった。わたしを一番大切にできるのは、わたししかいないんだから。
もっと早く、いろんなことに気付けたらよかったな。(p.233-234)
すっちー
茉莉の病状が進行し、病院で寝たきりの生活に入った後半のシーンも読んでいて本当にツラい。
自分一人では身体を起こすことも排泄することもできない、外には当然出られない、頬はこけ肉付きもなくなってどんどん醜い姿になっていく。
こういったストレスで、見舞いに来てくれる身内にも酷く当たってしまい自分に嫌気がさしてしまうなど、救いがない「現実」に目を背けたくなりました…。
精一杯生きる姿とふと見える本音がツラい
あなたは10年を長いと感じますか?短いと感じますか?
そして残り10年という制約ができた時、あなたは何をしますか?
茉莉が大好きなアニメやコスプレに夢中で取り組む姿や和人(好きな人)と恋愛をする姿の全てが「全力」で、読んでいてどこか清々しい気持ちになります。
そして、「リアルすぎる感情描写にグッとくる!」でも書いたように、後から見える茉莉の本音があまりにもツラいです。
精一杯生きて楽しむからこそ、失うのが嫌になる怖くなる気持ちが堪らなく切ない。
楽しむことと同時に恐怖も味わって生きていくことに、あなたは耐えられるでしょうか?
すっちー
好きだからこそ手放す覚悟に涙する
余命が10年しかないために好きな人を手放す覚悟が『余命10年』の中でもかなり泣けるシーンになっています。
以下が、和人が茉莉の病気のことを知ってもなお「結婚をしたい」と言った時の茉莉のセリフです。
「わたしはもう子供が産めないもの。これからどんどん病気も悪くなってく。そしたら何もできなくなるんだよ。カズくんに夢を見せることも、一緒に将来を描くこともできない。それでもいいの?わたしはいや。そんな自分をカズくんに見せ続けて死ぬのはいや。死ぬって、ドラマチックなことじゃないんだよ。いなくなるの。こうやって触れることができなくなる。カズくんがつらくても、抱きしめることもできないの。永遠に消えるの。死ぬってそういうことだよ?わかる?」(p.307)
「それにわたしは、カズくんといたら死ぬことが怖くなる。死にたくないって、そのことばかりに怯えて3年暮らすことになる。そんなのまっぴらよ。あなたのせいで死にたくないなんていう人生は欲しくない。だから、もう別れるんだよ、わたしたち」(p.307)
本当は好きで好きで一緒にいたいのに、少し強めの言葉で和人を突き放すこの物言いにより切なさを感じませんか…?
すっちー
和人の一緒にいたいという気持ちと、茉莉の好きだからこそ一緒にいるべきでないという気持ちが相入れることがないのが悲しいです…
自分が余命10年になった時、本当に好きな人のことを手放せるのか、手放すことが正しいことなのか判断できないと思います。
おわりに:切ないけど多くの人に読んで欲しい作品!
小坂流加さんの著書『余命10年』の紹介、読んだ感想をまとめていきました。
少しでも本書に興味を持っていただけたら嬉しいです!
ただし正直、読後感はよくありません。
私は読後、虚無感に襲われ何も手につかなくなってしまいました。
でも読んでよかったなと思った作品になっています。
命について考える時間は定期的に作っておくと、時間や好きな人の大切さを再確認できますよね。
ぜひたくさんの人に、この『余命10年』という作品が届けばいいなという気持ちで感想を書かせていただきました。
今回紹介した本はこちら↓
すっちー